読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

闇も、影も、そして光も

 リオデジャネイロオリンピックの競泳が終わりました。

 と、いってもまだチェックできていない映像が多くて……特に、敬愛する(そして恐れ慄いている)ケイティ・レデッキーのふたつのワールドレコードを見れていないので、さっさと400Mフリーと800Mフリーを見ねば!という気持ち。200、400、800フリーで三冠という偉業達成。まだ10代、これからどれだけ速くなるんだろう。レデッキー、現役選手で一番好き。ペレグリーニ姐さんも好きだけど、今はレデッキーかな。

 もうひとり、金メダルをたくさん手にした選手がいる。マイケル・フェルプス。200Mバタフライのレースは、彼の勝負強さが出たレースだった気がする。坂井はもうちょっとで彼に勝てた。でもその「もうちょっと」、あとひとかき、がたぶん、近いようで死ぬ程遠いんだと思う。この感覚は一緒に泳いでないとわからない気もするけど。その少しの差で彼が金メダルを手にしたことも、たぶんけっこうある。そういう勝負強さ、それが、それも、きっと彼を支えてきたんだろうな。

 今度こそ、200Mバタフライに彼の姿はなくなってしまう。

 

 一番好きな種目はフリーで、一番好きな選手はレデッキーだけど、本当に水泳選手のことはみんな好きで、全競技大好きで、楽しく見れてる。

 だからこそ今回ロシアのユリア・エフィモワに抱いてしまった感情は、自分でも驚いてしまうようなものだった。

 エフィモワのブレの最後の追い上げはほんとうにいつもすごい。伸び盛り、ロンドンで当時の絶対的エース、ソニを破って金メダルを勝ち取った、リトアニアのメイルティテをものともせず世界女王になった彼女。だからこそ、ドーピング疑惑が出た時はびっくりしたし悲しかった。でも、好きな選手なのには変わらなかったはずなのです。

 だけど。

 女子200Mブレ決勝。金藤さん!金メダルへ!と思いながら、エフィモワが入場してきた時のあのなんともいえない気持ち。

 正直、「どうして出場しているんだろう」と思った。正直に、ほんとうに正直に言ってしまうと。「なんで、ドーピングして勝った選手が金藤さんと戦おうとしてるんだろう」と。

 だからこそ、100Mブレの勝者、リリー・キングの言葉は刺さった。

リオデジャネイロ五輪は8日、競泳4種目の決勝が行われ、女子100メートル平泳ぎでは米国のリリー・キング(Lilly King)が金メダルを獲得した。

 ロシアのユリア・エフィモワ(Yuliya Efimova)が出場した同種目の決勝は、大会に影を落としている同国の国家ぐるみのドーピング問題を象徴するようなレースとなった。

 初出場を果たした五輪の舞台で19歳のキングが、エフィモワは競泳界にふさわしくないと考えていたと明言すると、それに同意した大勢の観客が、決勝のスタート台に上がった24歳の元世界女王に対してブーイングを浴びせた。

www.afpbb.com

 王者だからなにを言っていいわけじゃない。何をやっていいわけでもない。スポーツマンシップという言葉がある。エフィモワが(どんな容疑をかけられていようと)そこにいて、銀メダルという栄光に輝いたなら祝福されて然るべきだ。それは、金メダルを勝ち取ったキングも同様に。だから彼女のやったことは、間違っている、と思う。彼女はきちんと、勝者として彼女を祝福すべきだった。

 でも私も思ってしまったんだよね。

 「もし、エフィモワがいなかったら」って。

 

 そんな「闇」もあったリオデジャネイロ五輪競泳。

 闇もあったし、そして「影」もあった。

 入江の結果はショックだった。本人は賞味期限は過ぎたかもしれないけど、って言ってたけど。あたしはまだまだ諦めきれない。諦められないからつらい。彼に関しては、銅メダルを取るたびに、銀メダルを取るたびに、「すごいけどもうちょっと!」って言い続けていた気がする。もうちょっとで一番上に立てるからと頑なに信じていた感じ。銀も銅もすごいけれど、そこで終わる選手じゃないよね?って。このあいだの世界水泳、メダルを取れずに終わって、「でも、リオで魅せるんでしょ」って、彼に対しては常に強気だった。

 彼だけじゃない。最後まで調子の上がらなかった渡部。彼女はこれでロンドン、リオデジャネイロ、2大会ともに五輪でなにもできなかったことになる。絶対取れるだろうなとある意味楽観していた男子ブレでもメダルはなし。そして、男子メドレーリレーは、いつぶりにメダルを取れなかったんだろう。アンカー山本の涙。

 

 だからといって、栄光がなくなるわけじゃない。

 リオデジャネイロではメダルの数自体は減ったけれど、栄光の数自体は増えた、ような気がする。ブレの渡辺一平が準決勝で見せたORという成績。バタフライに、自由形に、池江璃花子という希望。男女ともに、「男女ともに」決勝に残れた100Mフリー4継。中村の日本新記録。メダル、ではない花たち。あたしがフリー贔屓なだけかもしれないけれど?笑。

 特にフリー4継男子。祈りながら眠った日曜日、朝飛び起きて携帯をチェック、4継が決勝進出ってニュースにあった時のあの、「古賀さんがオリンピックで2回泳げる」っていう幸せを噛み締めた瞬間。うれしかったな。メダルとかじゃないけど、それでも栄光なんだって。淡い光かもしれないけれど、それでも光なんだって。古賀淳也、30歳、はじめてのオリンピック。あたしはすごく楽しみました。幸せより、楽しめた感じ。古賀さんも楽しいって思ってたらいいな。かっこよかったです、アンカー。バックばかり見ていたから、フリーをああいうふうに泳ぐんだねって分かって。すてきだった。

 そして、なによりもメダルという栄光たち。

 ふたつの金メダルは、運良く生中継で見ることが出来ました。取る、取れる、と言われる選手が取ることの難しい金メダル。萩野公介はそれでも勝ち取った。瀬戸大也とのダブル表彰台。ほんとうは1-2で帰ってきてほしかったし、それしか信じてなかったけど、それは東京五輪に取っておこうかな。坂井のメダルは私は予言していましたよ。笑

 200M4継は、銅メダルって職場で聞いて発狂しそうになりました(まじで)。星も、若手の突き上げと女王というプレッシャーの中、よく銅メダルを取ったと思う。そして、金藤さん!世界大会に縁のなかった彼女、ロンドンは出場さえできなかった。渡部、鈴木という若手の突き上げがある中、諦めずに努力してきた先、びっくりしたわ、ダントツで帰ってくるんだもん。笑

 若い代表だったと思う。中学生も高校生もわんさか出場していた。何人もが世界の壁に突き放されただろう、予選落ち、準決勝落ちという結果もあたしはチェックしてきた。それでも諦めないで欲しい。どうか。あなたたちの先輩は、だって、水泳をずっとずっと続けてきた先に、光を手にしているじゃない。