好きを抱えて。

 

マンゴスチンの恋人 (小学館文庫)

マンゴスチンの恋人 (小学館文庫)

 

  この本を先日、再読しました。はじめて読んだ時非常に衝撃を受けた本で、文庫化したら必ず真っ先に手に入れようと思っていた本だったので買えて良かった。

 セクシャルマイノリティジェンダーについては自分も興味がないわけではないのですが、この本の本質はそれだけじゃない。高校生という微妙な年齢である登場人物達が(それがセクシャルマイノリティという事情を抱えている抱えていないにかかわらず)「好き」を表現するのにとても苦労している、それがとてもいいのです。

 たとえば、この本の2編目の「テンナンショウの告白」で瀬尾実森って女の子が出てきて、その子はマジョリティでありしかも美人で人生の勝ち組なのにつねに苛立ちを抱えていて、自分を抑えてばかりの日常がつまんないって思っている。彼女は彼氏に、周りの友達に、もうテレビに出なくなって消えたアーティストの熱狂的ファンだと言えない。「自分はそのアーティストが好きってことだけは確かなもの」って言い切れるほど好きなのに。
 死ぬほど気持ちがわかって困るんです。隣の人に、鈴木達央さんが気になってるの、って言えたらいいのになんて思ってしまう。ギラヴァンツを応援していることさえ、ほとんど告げていない。

 どうしてだろうなあ。